― 問題の捉え方から,新しい価値を生み出す計算知能 ―
私たちが目指していること
研究の本質を問い直しながら,実装と検証を通じて,実世界で役立つ計算知能技術を創出する研究室です.本研究室の特徴は,アルゴリズムの性能向上にとどまらず,問題の捉え方そのものを問い直し,新しい価値を生み出す計算知能の創出を目指している点にあります.
単に既存手法を改良するのではなく,「これまでに何ができるようになり,今何ができないのか」,「今できないことができるようになると,どのような価値が生まれるのか」,「その実現にあたり,これまでの方法では何が難しかったのか」を丁寧に掘り下げ,それを言語化・数値化することから研究を始めます.
その上で,現状から次のステップとして「何を目指すべきか」を定め,先駆者たちの取り組みの文脈を大切にしながら,それを達成するために妥当と考えられる方法論を設計・実装し,主として実験を通じて「当該問題が本当に解決されたのか」を検証します.
また,社会一般や当該研究分野で共有されている問題意識をそのまま受け入れるのではなく,その前提となる価値観そのものを見直すことも重視しています.数値としては表れにくくても,人が本当に求めている新たな価値は何かを問い続け,それを実現するアルゴリズムの研究に果敢に取り組みます.
研究の基盤:生き物と人の知能に学ぶ
私たちの研究は,生き物が進化や学習を通じて獲得してきた知能の仕組みに着想を得ています.
進化計算や群知能といった生物進化に基づくアルゴリズムに加え,人の情報処理や学習メカニズムを参考にした脳型計算モデルの研究にも取り組んでいます.
これらを単なる模倣に終わらせず,計算モデルとして抽象化し,アルゴリズムとして設計・検証することを重視しています.
研究スタイル:基礎・実装・応用をつなぐ
本研究室では,
- アルゴリズムの原理を深く理解すること
- 実装し,実際に動かして検証すること
- 実世界の問題に適用すること
のすべてを大切にしています.
基礎だけで終わらせず,実装だけに偏らず,「なぜ動くのか」「どこに価値があるのか」を自分の言葉で説明できる研究を目指します.議論やフィードバックを通じて考えを整理し,必要に応じて方向を修正しながら研究を進めます.
学生にとっての研究室
本研究室では,学生が
- 問題を自ら定義し
- 解決のためのアルゴリズムを設計し
- 結果を評価し,考察する
という一連の研究プロセスを,基礎から経験します.
与えられた課題をこなすだけでなく,自分で考え,試行錯誤し,答えをつくる力を身につけることを重視しています.その過程では,教員や先輩と議論を重ねながら,試行錯誤や失敗を共有し,次の挑戦につなげていくことを大切にしています.
さらに,社会一般や当該研究分野で共有されている問題意識をそのまま受け入れるのではなく,「それは本当に問題なのか」「対峙すべき問題は他にあるのではないか」と問い直しながら,問題の本質を突き止め,それを自らの言葉で表現し,解決へと発展させます.
こうした研究活動を通じて,修了後も活きる,他者に依存するのではなく,自ら判断し,主体的に問題解決に取り組むための思考力と技術力を育てます.
学生のご家族の皆さまへ
本研究室では,大学での研究が社会と切り離されたものにならないよう,実世界の課題と向き合う姿勢を大切にしています.学生は,基礎と応用の両方を学びながら,未知の課題に対しても,論理的に考え,明快に説明する力を養います.研究活動において学生が取り組む課題は,将来,社会で直面する未知の課題へと形を変えて現れていきます.
研究を通じて,課題にどう向き合い,解決の道筋を考え,方法を編み出し,実行し,その結果を明らかにしてきた経験こそが,研究室生活の中で学生の血肉となり,社会で困難な状況に向き合い,乗り越えていくための何よりの糧になります.
こうした積み重ねを通じて,学生は与えられた指示を待つのではなく,自ら考え,判断し,行動できる,自走できる頼もしい人材へと成長していきます.
企業・共同研究をご検討の皆さまへ
本研究室では,現実の課題を出発点とした共同研究に積極的に取り組んでいます.
要素技術の研究・開発を重視する取り組みから,スピードを重視した実践的な開発まで,これまでにさまざまな形態の共同研究実績があります.課題の性質や目的に応じて,柔軟な進め方が可能です.
要素研究・開発を重視する場合には,問題設定からアルゴリズム設計,実装,検証までを一貫して行うことで,現場で意味を持つ計算知能技術の創出を目指します.「既存手法では対応が難しい」「評価の考え方そのものを整理したい」といった段階からのご相談も歓迎しています.
一方,スピードを重視する場合には,本研究室がアドバイザーとして参画し,開発や実装は企業側で進める形態の共同研究も行っており,これまでに複数の成功例があります.目的や体制に応じて役割分担を整理しながら進めます.
研究室として大切にしていること
- アルゴリズムの仕組みを理解する面白さを大切にする
- 試し,動かし,確かめながら,対話を通じてアイデアを育てる
- 「別の見方はないか」を考え,新しい発想につなげる
- 研究が社会でどう役立つかを想像する
これらを通じて,知能的アルゴリズムの本質を探究し,社会に役立つ形で実装する研究室でありたいと考えています.